2014年12月9日火曜日

映画の寄生獣はどうすればよかったのか




超映画批評「寄生獣」25点(100点満点中)


『寄生獣』見てきた。オマエに監督をされて残念、という気分 - 超時空超巨大小学6年生


少し山崎監督をフォローしたい。


原作ファンから改悪されたと言われてもしょうがないけど
僕は正直よく実写版を作ってくれたと思う。


人物を省略しすぎとか、1時間49分の2部じゃなく
2時間45分x2部の長編にすべきという意見は
ぜひそうして欲しいところだが、
そこまで上映館の負担が増えてヒットするかというと原作観てない人には
あまり関係ないと思われる判断なんだろう。


長編マンガの実写映画化は鬼門で、
尺が厳しすぎて全部の要素が入らないうえ
どの要素が抜けても本来の表現として物足りなさがつきまとい、
実写のCGや特撮技術が追いつかないなどの理由がある。
(とはいえ邦画CGは視聴に耐えるものになって、実際ヒットしてるが)


寄生獣など、語りも間も多い物語全10巻全ての登場人物を、
映画2部作220分に納めろというのはかなり無茶がある。

批判されてる母の行動の件も、
本来は旅館の女子高生やら、父親や、宇田らが外堀を埋めながら
新一の心情が浮かび上がって見える仕組みなのに
尺の都合上それらをバッサリカットせざるを得ないとなると、
この対決シーンで主人公の心情がまとめれなくなる。

この場合火傷の手が勝手に動く以外の締め方があったかというと難しいだろう。



ハリーポッターに原作批判が少ないのはなぜか?


ハリーポッターでも、
原作と映画とではだいぶカットされてるシーンが多くて、
映画は物足りないという気がしないでもないのだが、
あまり目立つ原作批判を聞かない。


これは元が漫画ではなく小説だからだと思う。
小説はまだ「絵になってない」段階なので、
「絵」を作る映画化というのはまだ見たこと無いプラスの作業なのだ。
シナリオ的には尺の問題でカットするしかなくても、
そのまだ見たこと無い映像が見れるというのはありがたく、
小説と映画で補完関係となれる。

しかし、漫画はすでに「絵」になっている。
するとシナリオも、映像もどちらも引き算になってしまう。
ゆえに批判にさらされる。


ここで原作ファンを少しでも惹きつけるには、原作に忠実なCGではなく
原作を上回る表現やバトルだと思う。
旧エヴァに対して、エヴァ序・破のような
原作を超える映像にするのなら、
原作ファンの予想を少し良い方向に超えるなら
実写やCGなりの価値が生まれるのではないだろうか。



この意味で期待できそうなのは「進撃の巨人」の実写版である。



映画スタッフが協力したスバルのCMは、
漫画やアニメ以上の巨人の狂気が表現されている。
寄生獣の予告は想定内の表現だったけども、
このCMはワクワクしたし、映画館でみたいと思わせる。

もちろんこれも長編マンガで尺に限界があるので、
シナリオが原作通り忠実にいくなんて期待はしない。
ただ、この映像ならオリジナル展開でも見ごたえありそうだ。


では山崎監督でなければ、誰が監督をすればよかったのか?


まだ第2部も公開されてないし、
興行収入としては大ヒットの可能性もあるので失礼な話だが。

「平成ガメラ」「デスノート」を撮った金子修介か
同じく「平成ガメラ特技監督」「ローレライ」
今度の「進撃の巨人」などの樋口真嗣か
時代に合わせた特異な演出をTVや映画に持ち込んだ
「ケイゾク」「TRICK」「SPEC」「20世紀少年」の堤幸彦か


最初の2人の批評から考えてみよう。

互いの価値観はなかなか相容れない、
理解しあえない関係であるがゆえに、
サバイバルの場ではきわめて強力な補完関係となっているのである。

だからこそ、この二人には、親しくはなれど決して越えられない壁、
という距離感を持たせなくてはならなかった。
それが、原作ラストの後藤戦における感動の結末への伏線でもある。


「寄生獣」って漫画は、最初のあのモノローグで
寄生生物が出現したところを描いていることろでよく誤解が生まれる。
連載漫画だし、岩明先生が描いているうちに
最初にあったテーマは多分、変質していったのだと思っていた。

地球とか、生物全体とか、環境とか、所謂‘エコ’みたいな
言葉で表されるような、人間と自然の対立から、
「我々は何故生きているのか」という実存を問うテーマに変わっていったのだと。



価値観が相容れない、理解し合えない補完関係、
「我々は何故生きているのか」という実存を問うテーマ。

、、だとしたら、押井守しかいないじゃないか。
パトレイバーのジャッキアップなんかしてる場合じゃないですよ!
プロデューサー何やってんの!!
ミギーも田宮も広川も原作にないあらぬこと喋りそうだけど大丈夫!!
原作ありの第1作目まではきっと暴走しないよ!!!


いや、押井守監督の実写映画、、トーキングヘッドもAVALONも見たけど
ヒットしたなんて聞いたこと無いけど、、、
でも押井監督はキャッチーな原作ありきだと思うんですよね。
うる星やつらや、パトレイバー、攻殻機動隊がそうだったように
もし押井版の実写「寄生獣」があれば、
はじめて実写ニーズとマッチして大ヒット出来たんじゃないかと。



まあ、いまノリノリの山崎監督と、押井監督を比べたら
どの会社も山崎監督を選ぶんだろう。
そのほうが確実にヒットするという判断で。

でもこの映画が入り口でもいいんですよね。
あとでコミック読んでもらえるなら、
ヒット請負人の山崎監督が間口を広げてくれると考えて
ほんとの寄生獣はこうじゃないんだと語れる人が増えるのも
よくぞ話題になるほどの実写版を作ってくれたと思います。



寄生獣 完全版全8巻 完結コミックセット
寄生獣 完全版全8巻 完結コミックセット




0 件のコメント:

コメントを投稿