2014年10月28日火曜日

日本は言うほど自己責任のプレッシャーが強いのだろうか?

日本の貧困層を救ってくれるのはイスラームしかないって確信した。 - 拝徳

この「自己責任」というのは、現代日本の病巣の一種だと思う。
前のブログにも書いたことがあったけれど、日本はこの自己責任論で片付ける人の割合が世界の中でも異常に高い国だったりする。
例 えば「What the World Thinks in 2007」The Pew Global Attitudes Project という世界各国で行われたアンケートの中で、「自力で生活できない人を助けてあげる必要はない」という回答項目について「助けてあげる必 要はない」と答えた人の割合は日本が38%で、世界中でブッチギリ断トツだ。自己責任が問われるイメージが強いアメリカですら28%で その他のイギリス でもフランスでもドイツでも、中国でもインドでもブラジルでも同様で、どこも8%~10%くらいである。
つまるところ10人のうち約4人は、「はぁ?貧困?つか言うて自己責任だろ。俺だって苦しいんだから。苦労するのは当たり前。いちいち俺らにたかるなよ。生活できないならできないで周りに迷惑かけないうちにさっさと死んで解決しろよ(笑)。」

と暗に思っている国がこの国なのだ。


 そうかな?

 いや、ネットを見る限りは学のある人や、意識の高い人や、暇を持て余して若く健康で貧乏なニートが自己責任を言い合ってるのはわかるが、言論好きなネットの人達だけで言い争って自己責任圧力が高いのは、その人達の間だけなんだから別にいいじゃない。

 たまに本当に病んでる人が紛れ込んでフルボッコにされるわけだが。一部のそれを見て日本がダメだというのもどうかと。生活保護もあるし、各種支援団体もたくさんあって、金がなくても医者は断れない法律だし、ほんとに病にかかって立ち上がれない人を助けない国ではないし、どれだけ体育会系で意識が高くても病人にムチは打たない。

 で、それでも上記データから日本が自己責任論のトップだということなんだけど、こうなる理由が2つ思い浮かぶ。


1,日本は安全で生活しやすい国


 「自力で生活できない人を助けてあげる必要はない」

これは国によって意味合いが異なる。

長らく先進国を突き進んできた日本ではそう簡単に死なないし死ねない。ほとんどの人は字が読めるし、義務教育も終えて高等教育も卒業している。極端に言えば、プライドとキャリアを捨てて開き直ることができたら1からやり直すことができる。ある程度健康で精神が病んでなければ、いくらでも自活できる環境が整った国なのだ。

これが発展途上国ならみんなもっと生きるのに必至で、必ずしも親や学校が成人までお膳立てしてくれるわけではなかったりする。日本だと流れに沿ってなんの意思を示さなくても生きていけたが、発展途上国やアメリカのような多国籍社会でそんなことは言ってられない。アメリカだと空気を読む日本と違って小学校からディベートがあったり、論理で相手を説得する技術はずっと重要視される。面の皮が厚くなけりゃ生きていけない。

逆に福祉が日本よりもっと充実してるカナダやヨーロッパのいくつかの国だと、自力で生活できない人を助けて上げる必要はないという文言は自国の手厚い保障の否定となりかねないのでそんなことに賛成する人は少ない。

 自己責任論の強そうなアメリカが日本よりも圧力低いというのも、元々自分の身は自分の身で守るという銃社会のアメリカで自己責任は当然なので、この質問ではそれでも生活できない人、字も読めなかったり学校に通ってなかったり、言葉が通じなかったり、つまりアメリカで自活できない人はある程度の助けは必要だが、同一民族で教育水準も高く安全な日本で助けが必要という割合が低くなるのは当然かと思う。


2, 自己責任論が強いのではなく、人の目ばかり気にしている


NHKの番組などで、性風俗に働くシングルマザーの特集などをみたけど彼女らがそこから抜け出せない理由は子供を抱えてることだった。一時的にでも子供を施設に預け、職業訓練を受け独り立ちできたところで子供を迎えにいけばいいのは頭では分かってても、子供が生きがいであり、やすらぎであり、母親のプライドであるかぎり一時的にでも手放せないということだった。例えそれが貧困の連鎖になるとしても。

それとたくさんのシングルマザーのための支援団体も在るのだが、彼女らはそれらを知らないし、知ってもアクセスしようとしない。手助けはいろいろあるのに人の目が怖い。その番組とは違うが生活保護などでも役所が怖くて生活保護の烙印を押されるのが嫌で、親族に知られたくなくて生活保護を受けれない人もいる。主体が自分になく、他人からどう見られるかが生活の中心となっている。




これは過剰に空気を読みすぎていじめられるいじめられっ子に似ている。人の目が異常に気になり自分に自信が持てない。助けはあっても自分で手を伸ばさないどころか拒否する。 これはシングルマザーなどに限らずむしろ自殺者が多い男性にも言える。自分の生き方を開き直ることができずに、辞めて逃げりゃいいものを誰にも相談できず行き詰まってしまう。面の皮が薄いどころか繊細すぎて親か友達がいなければ何も出来ず、自分の意志で何も決めてこなかった、日本の教育だと一定数そういう人達が出てくるようになるのかもしれない。

彼らを一切傷つけないようによりそってケアし続けるのは難しくコストがかかりすぎる。海外で言う助けるが支援団体そのものなのに対して、日本で言う助けるは彼らが助けを求めるまでひたすらコストを払って誘導し続けることになる。ゆえに最初の質問に乖離が見られる。


もちろん、38%と28%の割合の話であって、海外に繊細な人がいないとか言わないし、自己責任論を消し去りたい人からするとこんな視点は、本来自分達が問題にして訴えてるワープアと貧困の連鎖とは別の話かもしれない。ただ日本が自己責任論強すぎるというにはあまりに日本人は安全で繊細に育てられ人の目を気にしすぎて主体性がなく、海外の判断基準からかけ離れてる気はする。

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