2014年12月6日土曜日

長編CGアニメの4K対応にまだ経済合理性はない?



業界関係者が警告、長編CGアニメの4K対応はほぼ不可能 - BusinessNewsline

BBCの記事によると、アニメーションスタジオが
Full HDから4Kに移行した場合、
1枚のフレームのレンダリングに掛る計算量が2.5倍かかることとなり、
レンダリングの速度が製作スケジュールに追いつかなくなる可能性があると、
CGスタジオ大手のMac Guffのテクニカル部門のヘッドとなる
Bruno Maheへのインタビューを交えて紹介している。

略)

その上で、Bruno Maheは現状においては
フルCGアニメを4Kで製作することは
経済合理性を持たないと締めくくっている。


原文
BBC News - Animators face 4K film technology 'challenge'




読んでいくつか不思議に思ったことをちょっと調べてみた。

1.今日までのCGアニメ映画はFullHDだったのか?


デジタルシネマ - Wikipedia

2006年からハリウッド映画を中心に
Digital Cinema Initiatives(DCI) の仕様が決まり、
このうち「2K」、2048×1080が
デジタル上映においてまず普及した。

2006年12月には全館デジタル上映のシネコンが登場し、
2008年7月にはオンライン配信によるフルデジタルのシネコンが登場した。
そして2Kのプロジェクターがフィルム式投影機を抜いた、
そしてフィルムの時代は終わった。


4096×2160 - Wikipedia

2012年からの4096×2160の普及とともに
映写機と撮影機材の解像度が同じになりつつある。


どうもそうらしい。
映画の大画面なんだから4Kで当たり前かとおもってたら
そうでもなかったんだ。
そっちの方がビックリ。

Current animated movies are made to be viewed at 24 frames per second (fps) and at resolutions of about 2K.

But the advent of technologies such as 4K and frame rates of 48fps and higher means that the resolution of animated films will have to be substantially increased, said Mr Mahe, whose studio was behind films including The Lorax, Despicable Me and Minions.


ただ、原文だと 2K 24フレームから、
4K と 48フレームへの挑戦と書いてるので8倍大変そうだ。
結論は経済合理性ないから今はやらないだろうけど。


2.レンダリング時間が2.5倍かかるから無理ってコンピュータの進化からしたらすぐじゃないか?


すでに2万台のレンダリングファームをもっているらしいが、
原文ではGPUの言及がなく、それよりもメモリーへのロード。
つまり I/O部分、ハードディスクへの
インプット・アウトプットにおける問題を指摘している。
なのでハードディスクがボトルネックなら進化は頭打ちだ。


3.そもそも怪盗グルー最新作は7000万ドルの制作費で10億ドル近い興行収入だが、コンピュータをさらに1.5倍買い足してもすぐに、あるいは何作かですぐペイできるのでは?


インタビューされてる、イルミネーション・エンターテインメントの
Mac Guff スタジオは、ユニバーサル傘下で怪盗グルーを大ヒットさせている。


怪盗グルーのミニオン危機一発 [Blu-ray]


で、原文だとこの作品ひとつでレンダリングファームは
680テラバイト(680000GB)使っているということなので
これをフラッシュメモリであるSSDに変えたら
I/Oのボトルネックは解消されるだろうと。

でも、68万GBものSSD乗り換えはあまりにコスト高だし、
そもそも4KのフルCGアニメを観客は望んでないだろう?
(僕は気づかなかったし)
SSDに乗り換えることに経済合理性はない。
ということのようだ。


イルミネーション・エンターテインメント - Wikipedia

あと、興行成績なんだけど

怪盗グルーの月泥棒  5億4千万ドル
イースターラビットのキャンディ工場  1億8千万ドル
ロラックスおじさんの秘密の種  3億4千万ドル
怪盗グルーのミニオン危機一発   9億7千万ドル

どれも、制作費7千万ドルで、
映画館からどれだけの割合が返ってくるかわからないけど
キャンディ工場あたりはもしかして赤字の可能性もある。

ミニオン危機一髪は、
ピクサーの半分以下の予算で
ピクサーと同等のヒットなので大金星といえそう。
しかし、そう確実に大ヒットばかり出せる会社でもないので
予算は厳しそうだ。


 ピクサー・アニメーション・スタジオ - Wikipedia

ピクサーの詳細はリンク先で。
トイ・ストーリー1こそ、3千万ドルの予算だけど
以降は1億ドルから、2億ドルの予算をつぎ込んで
どれもコンスタントに5億ドルから10億ドルの興行収入となっている。
予算が多ければヒットするわけでもないようだ。

日本のみだとピクサーの興行収入の当たり外れはかなり差があるけど、
全世界的にみると、どれも確実に当ててるのが凄いね。


 4.トイ・ストーリーが19年前に2Kでレンダリングしてたのなら、2014年で4Kぐらいなんでもないのでは?


デジタルシネマの普及率からすると、
トイ・ストーリーのころはフィルムで納品してたんだろうか?

トイ・ストーリーと、今のモンスターズ・ユニバーシティでは
多分ライティングやら、 毛のフサフサ感とか、
質感とか空気感みたいなところで何倍も手間暇かかるように
なってると思われる。

まあ原文ではピクサーのPの字もでてないので、
これはイルミネーション・エンターテインメントの
怪盗グルーのレンダリングをベースにした話なんだろう。

ピクサーは3本ライン走らせて毎年公開らしいので、
レンダリング遅いだけなら、総合的なプロジェクト管理や
レンダリング期間の従業員はオフシーンズンで休ませて
公開時期を調整するなど、なんらかやりようはあると思う。


5.ハードディスクがボトルネックでも、2万台を4万台の並列レンダリングファームにすれば単純に半分の時間になるのでは?


ある程度は効果あるんだろうけど、
各種アーティストから、4万台のレンダリングファームへ分散転送して
4万台をさらに結合するとか考えると、
どこかでこれ以上並列処理しても伸び悩んで、
よりコスト高になることはあるかと思う。

まあSSD化は一番高くて一番効果ある方法というだけで
なんらかやりようはあるかもしれない。


6.それでも映画は4K、48フレームに進化していくんじゃないのか?


なめらかで3D特有のちらつきもない!『ホビット』で初採用されたHFR3Dの魅力とは? | ニュースウォーカー


ホビット 竜に奪われた王国 [Blu-ray]


僕は観てないのだが、2Dでは気にならない24フレームのブレが、
3Dでは結構気になるらしい。
それが、48フレームになるとだいぶ軽減されるとか。

CGアニメも3D上映するはずだから、確かにいずれそっちへ進化するかもしれない。
ただ、そのホビットの3D評価は目は疲れないけど
フレームレートが高いと映画ではなくホームドラマの映像みたいになる
という声もちらほら聞かれるので、これは慣れの問題なのか
やはり48フレーム対応は一時的なもので 映画の24フレーム にかなわないのか。

ここはジェームズキャメロンがアバター2で、
「魔法の48フレーム」を開発することを期待しましょう。

4Kは、ピクサーから対応していくんじゃないかと思われますが、
いちいち4Kになりましたなんて言わないかもしれませんね。

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